あまおう
Amaou
福岡県農業総合試験場が育成し、JA全農ふくれん管理下で福岡県内産のみが名乗れる大粒高糖度ブランドいちご。「赤い・丸い・大きい・うまい」の頭文字を冠し、品種登録名は「福岡S6号」。冬〜春の高級ギフト需要を牽引する日本いちごの代表格。
あまおうとは
あまおうは福岡県農業総合試験場が育成した大粒いちごで、品種登録名は「福岡S6号」(品種登録番号 第12572号、登録 2005年1月19日、育成者権 2025年1月19日満了)。種苗法上の保護は失効しましたが、ブランド名「あまおう」はJA全農ふくれんが商標を保有しており、福岡県内産・JAルート流通品のみが「あまおう」として名乗ることが認められています。「赤い・丸い・大きい・うまい」の頭文字を冠し、1粒あたり概ね20gを超える大粒、最上級EXグレードでは40gに達する個体もある贈答向けの主役品種です。冬から春にかけてのお歳暮・クリスマス・バレンタインといった高級ギフト需要を支え、福岡県は栃木県に次ぐ全国第2位のいちご産地として、国内市場の約1割を占めています。
味わい・食感
あまおうの最大の特徴は、20g前後の大粒に濃赤の果肉、糖度と酸味のバランスのよさです。一般的ないちごより糖度・酸度のいずれも高めに設定されており、ただ甘いだけではなく芳香と余韻のある濃い味わいに仕上がります。栽培は促成栽培(暖房ハウス)が中心で、夜温管理によって12月から5月までの長期出荷を実現しています。
感覚プロファイル
- サイズ: 1粒約20g、EXグレードは約40g、最上位5L箱は1粒50g級
- 糖度(Brix): 9.6〜13度、ピーク時(1〜2月)は15度に達する個体も
- 酸度: 約0.74%(やや高め)。この酸が甘さを引き締め、余韻を残す
- 色: 表皮・果肉ともに濃赤色。中心まで色が入る
- 食感: 締まった果肉で輸送性に優れる
等級・グレード
- 等級(秀/優/良)に加え、サイズで「2L」「3L」「4L」「5L」「DX(デラックス)」「EX(エクセレント)」を区分
- EX/DX等級は化粧箱・宝石箱包装で贈答に使われ、伊勢丹・千疋屋・髙島屋など百貨店ルートで流通
- 5Lクラスは450gで11,000円(約70米ドル)前後の最高級ライン
旬カレンダー
最盛期
1月 〜 2月
主要産地
※ 主要産地は出荷量の傾向を示す参考情報です。年次や統計範囲により順位は変動します。
他の品種との違い
とちおとめとの違い
栃木県の代表品種で全国シェア最大級。粒はあまおうよりやや小ぶりで果肉は柔らかめ、酸味と甘みのバランスは穏やかな「優しい味」型。あまおうは大粒・濃赤・酸味と甘みのコントラストが強い「リッチで濃い味」型で、贈答・スイーツ用途の主役として明確に差別化されています。流通価格はあまおうの方が概ね2〜3割高い水準。
紅ほっぺとの違い
静岡県を代表する大粒品種。糖度・酸味ともに高めという点はあまおうと共通しますが、紅ほっぺは縦長の円錐形で果肉中心がやや白く、酸の輪郭が鋭くキレのある後味が特徴。あまおうは丸みのある形と中心まで赤い果肉で、酸より香りの余韻が前面に出ます。両者は「高糖度・高酸度」セグメントの双璧で、好みで使い分けられることが多い品種です。
品種の来歴
あまおうの誕生は2005年。福岡県農業総合試験場が、当時主流だった「とよのか」が抱える果実の柔らかさと貯蔵性の弱さを克服するため、「久留米53号」と「92-46」を交配して育成し、品種登録番号 第12572号として登録しました。育成にあたっては、大粒・濃赤・高糖度・適度な酸味のバランスが意識され、開発段階から「いちごの最高峰ブランドを福岡から」という県の戦略商品としての位置づけが明確でした。 品種登録と並行して、JA全農ふくれんが「あまおう」の商標(第4615573号ほか)を取得し、種苗の県外流出を抑える生産管理体制と組み合わせることで、産地と品質を一体で守るブランド構造が確立しました。福岡県内でも県境地域や個人圃場での無断生産は厳しく管理されており、結果として「あまおう=福岡」のイメージを高水準で維持しています。 2025年1月19日、種苗法上の育成者権は登録から20年を迎え満了しました。これにより理論上は他県の生産者も「福岡S6号」種苗を入手できる可能性が生じましたが、「あまおう」という名称自体は商標として保護され続けています。福岡県は引き続き種苗の管理と県外流出防止策を講じており、ブランドとしての排他性は実質的に維持されています。 輸出面では農林水産省とJETROがいちごを戦略輸出品目に位置づけ、香港・シンガポール・台湾を重点市場として育成しています。あまおうは大粒・濃赤・高糖度というギフト特性が海外の高級日系小売とも親和性が高く、日本産いちごの海外プロモーションで看板品種として扱われています。
- 育成機関
- 福岡県農業総合試験場
- 交配親
- 久留米53号 × 92-46
- 登録年
- 2005年
- 商標登録番号
- 商標第4615573号 ほか
選び方
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本物のあまおうには、福岡県産・JAルート流通品である証としてJA全農ふくれん公式パッケージ(ヘタ周りに「あまおう」ロゴ入り)が付きます。
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福岡県外で「あまおう」を名乗る生鮮品が流通することは基本的にありませんので、ロゴ・産地表記・JA出荷シールの3点をまず確認してください。
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果実選びでは、ヘタが鮮やかな緑色で反り返りがあり、ツヤのある濃赤色で、傷や白い部分のないものを選びます。
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粒のサイズに加えて等級表記(2L〜5L、DX、EX)が記載されていれば、用途別(EX/DXは贈答、2L〜3Lは自家用)に選びやすくなります。
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海外で購入する場合は、香港・シンガポール・台湾の高級日系スーパー(ドン・キホーテDONDONDONKI、明治屋、Meidi-Yaなど)が空輸品の正規流通ルートで、JA全農ふくれんロゴ付きの輸出専用パッケージかを確認するのが確実です。
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北米では一部のニューヨーク・ロサンゼルスのアジア食材専門店で稀に入荷しますが、Amazonや通販の「Amaou flavor」商品は風味使用のお菓子であり、生のあまおうではないため混同に注意。
保存方法
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あまおうは買った瞬間が一番美味しい、いちごの中でも特に鮮度劣化が早い品種です。
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購入後は洗わずにヘタ付きのまま、果実同士が重ならないよう保存容器に並べ、キッチンペーパーで余分な水分を吸わせた上で冷蔵庫の野菜室(約4°C / 40°F)で保存し、1〜2日以内に食べ切るのが理想です。
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洗うのは食べる直前に短時間。
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長期保存する場合はヘタを取って冷凍し、シャーベットやジャム、製菓に活用してください。
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お取り寄せ・配送便で受け取った場合は、外箱を開け、傷んだ実があれば取り除いてから冷蔵保存します。
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配送時に圧迫された果実は早めに食べる、軽い擦り傷のものは加工に回す等、ロスを抑える運用が現実的です。
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あまおうは赤くなった状態で出荷されており、追熟による糖度上昇は期待できません。
よくある質問
あまおうは福岡県以外でも生産されていますか?
生鮮の「あまおう」として流通するものはすべて福岡県産・JA全農ふくれんルート出荷品です。2025年1月19日に種苗法上の育成者権(品種登録 第12572号、福岡S6号)が満了し、理論上は他県でも栽培可能になりましたが、「あまおう」は別途JA全農ふくれんが保有する登録商標(第4615573号ほか)で保護されており、福岡県外で「あまおう」を名乗って販売することはできません。また福岡県は種苗の県外流出防止策を継続しており、実質的なブランド独占はそのまま維持されています。
海外であまおうを買うことはできますか?
香港・シンガポール・台湾を中心に、空輸の正規輸出品が高級日系スーパー(Don Don Donki、明治屋、City'super、Yata等)で12月〜4月に並びます。香港では2パック178〜198HKD(約23〜25米ドル)、シンガポールではEX級400gで30〜35シンガポールドル前後が相場です。北米・欧州の一般スーパーには鮮度・輸送コストの面でほぼ流通しておらず、ニューヨーク・ロサンゼルス等の一部高級アジア食材店で稀に入荷する程度です。Amazonや楽天で「Amaou flavor」と表示された商品は、あまおう果汁・パウダーを使ったKitKatやポッキー等のお菓子であり、生のあまおうではない点に注意してください。
海外で手に入る場合、あまおうに近い代替品種はありますか?
完全な代替はありませんが、北米・欧州で流通する品種のうち、Driscoll's「Sweetest Batch」、California発の「San Andreas」、汎用性の高い「Albion」が、大粒・濃色・甘酸バランスの観点であまおう体験に最も近づきます。いずれも露地・施設栽培の旬(北半球の5〜7月)が中心で、あまおうの冬季ハウス物とは収穫期が逆になります。サイズはEX級あまおう(約40g)には届きませんが、しっかり熟した個体を入手できれば「日本のいちごショートケーキ」用途には十分機能します。
あまおうの旬と最盛期はいつですか?
出荷は12月から5月までで、最盛期は1月から2月です。あまおうは促成栽培(暖房ハウス)が前提で、夜温管理によってクリスマス〜バレンタイン〜ホワイトデー〜お花見シーズンに合わせた長期出荷を実現しています。糖度は冬の低温下でゆっくり蓄積されるため、Brixがピークに達するのは1〜2月。気温が上がる4月以降は糖度が下がりやすく、3月までを「ピーク品」、4〜5月を「お買い得期」と捉えると選びやすいです。
あまおうがギフトに選ばれる理由は何ですか?
贈答市場であまおうが定番化している理由は、(1)1粒20g前後の見栄えの良い大粒で開封時の驚きがある、(2)EX・5L等の最上級品が宝石箱仕立てで百貨店ルートに乗る、(3)旬がお歳暮・クリスマス・バレンタインといった日本の高級ギフト需要のピークと完全に重なる、(4)JA全農ふくれんの一元的なブランド管理で品質のブレが小さい、という4点が揃っているためです。最上位5Lクラスは1箱450g前後で11,000円(約70米ドル)に達し、明確な「果物=高級ギフト」カテゴリの代表格として機能しています。