ピオーネ
Pione
「巨峰」の子にあたる紫黒色の大粒ぶどう。1973年に命名・種苗名称登録された日本生まれの品種で、巨峰よりさらに大粒で果肉に締まりがあり、岡山県を中心に種なしの「ニューピオーネ」として流通しています。
ピオーネとは
ピオーネは、1957年に静岡県の個人育種家・井川秀雄が「巨峰」と「カノンホール・マスカット」を交配して生み出した日本生まれの大粒ぶどうです。1973年に「ピオーネ」(イタリア語で開拓者を意味する pioniere に由来)として命名・種苗名称登録され、巨峰の子品種として全国に広まりました。一粒15〜20gと巨峰よりさらに大粒で、紫黒色の皮と締まりのある果肉、ほどよい果汁感がバランスする品種です。市場ではジベレリン処理を施した種なしの「ニューピオーネ」として流通することが多く、岡山県は作付面積約45%を占める圧倒的な産地として知られています。
味わい・食感
ピオーネは、一粒15〜20gと巨峰よりさらに大粒で、皮の色は紫黒色です。糖度は16〜21度と高く、巨峰と同等かやや高めの甘さを示します。果肉は巨峰より締まりがあり、果汁を含みつつも歯ごたえを楽しめるタイプの品種で、粒が落ちにくく日持ちも良い傾向にあります。皮は厚めで渋みがあるため通常は剥いて食べますが、薄く剥ける個体もあります。市場で流通するピオーネの大半はジベレリン処理を施した種なし果(ニューピオーネ)で、種ありのピオーネと併売されることもあります。
味わいの軸
- 甘み:強い(糖度16〜21度)
- 酸味:穏やか〜適度
- 香り:上品な甘い香り(マスカット系の上品さあり)
- 食感:果汁感+果肉の締まり
旬カレンダー
最盛期
8月 〜 9月
主要産地
-
岡山県
国内最大のピオーネ産地。作付面積約769ha・全国シェア約45%で、種なしの「ニューピオーネ」として全国出荷を支える。
-
山梨県
甲州市塩山エリアを中心に栽培。作付面積339ha前後で全国2位。
-
広島県
作付面積121ha前後。瀬戸内の温暖気候を活かして栽培される。
※ 主要産地は出荷量の傾向を示す参考情報です。年次や統計範囲により順位は変動します。
他の品種との違い
巨峰との違い
ピオーネは巨峰の子(巨峰 × カノンホール・マスカット)です。一粒15〜20gと巨峰の10〜15gよりさらに大粒で、糖度は同等〜やや高め、果肉に締まりがあって日持ちも良い傾向にあります。市場ではジベレリン処理を施した種なしの「ニューピオーネ」として流通することが多く、岡山県が圧倒的なシェアを持ちます。
シャインマスカットとの違い
皮の色(紫黒 vs 黄緑)、皮の食べやすさ(剥く vs 皮ごとOK)、香り(上品な甘い香り vs マスカット香)、食感(果汁感+果肉の締まり vs シャキッ)が大きく異なります。ピオーネは巨峰系の濃厚な甘みと食感、シャインマスカットは香りと爽やかさを楽しむタイプで、用途や好みで使い分けられます。
品種の来歴
ピオーネは、静岡県の個人育種家・井川秀雄によって1957年(昭和32年)に交配されました。母には日本のぶどう産地を変えた巨峰、父にはマスカット・オブ・アレキサンドリアの4倍体枝変わりにあたる欧州系大粒品種「カノンホール・マスカット」が意図され、巨峰の良さに欧州マスカット系の上品な香りと食感を加えることが目的とされてきました。なお、九州大学農学部による後年の DNA 研究では、ピオーネの遺伝的父親がカノンホール・マスカットであるという従来説に対して学術的な疑問が示されており、自家受精や別品種との自然交雑など他の可能性も指摘されています。本記事では育種家の交配意図に基づく従来説を採り、その上で学術的な異論も併記します。 選抜と評価を経て、1973年(昭和48年)に「ピオーネ」として命名・種苗名称登録が行われています。品種名はイタリア語の「pioniere(開拓者)」に由来し、巨峰の血統を継ぎながら新たな食卓価値を切り拓くという育種家の意図を象徴しています。なお、登録は旧種苗法時代に行われたもので、現代のPVP(育成者権)制度における具体的な品種登録番号や育成者権の現存有無については一次情報源での照合が必要です。 岡山県は1970年代後半から積極的にピオーネ栽培を導入し、ジベレリン処理による種なし化技術と組み合わせて「ニューピオーネ」として全国出荷の中心地となりました。
- 育成機関
- 井川秀雄氏(静岡県の個人育種家)
- 交配親
- 巨峰 × カノンホール・マスカット(従来説)
- 登録年
- 1973年
出典: 育成機関・運営団体 公表資料
選び方
-
選ぶ際は、房全体に粒が均等に詰まり、軸が緑色でしっかりしているものを選びます。
-
粒の表面に白い粉(ブルーム)が均一に付いているのが新鮮さの目安です。
-
色は深い紫黒色で、ムラなく濃く色づいているものが完熟しています。
-
一粒が大ぶりなので、粒のサイズが揃った房は栽培管理が行き届いた印です。
-
粒の付け根がしっかりしていて、軽く揺らしても落ちないものを選びましょう。
保存方法
-
保存はキッチンペーパーや新聞紙で軽く包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保管します。
-
洗うのは食べる直前にしてください。
-
房のままの保存は3〜5日が目安で、巨峰よりやや日持ちが良い傾向にあります。
-
長く保存する場合は、軸を少し残して粒をハサミで切り離し、密閉容器で野菜室に置くと一週間程度持ちます。
-
冷凍する場合は粒を切り離して保存袋に入れ、半解凍でシャーベット感覚で楽しめます。
よくある質問
ピオーネとニューピオーネはどう違いますか?
ニューピオーネは別品種ではなく、ピオーネにジベレリン処理を施した種なし果の市場通称です。ジベレリンの粒肥大効果で、ニューピオーネのほうが一粒が大きくなる傾向があります。スーパーでは種ありの「ピオーネ」と種なしの「ニューピオーネ」が並ぶこともあります。
ピオーネの旬はいつですか?
ハウス栽培の早出しは6月頃から、露地栽培の最盛期は8月下旬〜9月下旬で、10月頃まで出回ります。
ピオーネと巨峰はどっちが甘いですか?
糖度はピオーネが16〜21度、巨峰が18〜20度で、ピオーネがやや高めの傾向にあります。ただし果汁感の濃さでは巨峰、果肉の締まりではピオーネが勝るため、甘みの体感は好みや個体差にもよります。
ピオーネは皮ごと食べられますか?
皮は厚めで渋みがあるため、通常は剥いて食べます。皮ごと食べたい場合はシャインマスカットなど他の品種が向いています。
ピオーネの主要産地はどこですか?
国内最大の産地は岡山県で、作付面積約769ha・全国シェア約45%を占めます。次いで山梨県(339ha前後)、広島県(121ha前後)と続きます。岡山県の「ニューピオーネ」は全国出荷の中心です。