富有柿

Fuyu Persimmon

岐阜県瑞穂市居倉を発祥地とする完全甘柿(PCNA)の代表品種。渋抜き処理不要で樹上で自然に渋が抜け、サクサクとした食感と高糖度(Brix 15〜18度)が特徴。国内の甘柿品種の中で栽培面積トップを占める「柿の王様」で、北米・欧州でも「Fuyu」の名で流通する国際的知名度の高い品種。

富有柿とは

富有柿は岐阜県瑞穂市居倉(旧・美濃国本巣郡居倉村)を発祥地とする完全甘柿(PCNA)で、現在の国内甘柿品種の中で栽培面積・出荷量ともにトップの「甘柿の王様」です。起源は1857年頃、小倉初衛が地元の「居倉御所」の優良系統を栽培し始めたことに遡り、1898年(明治31年)に福嶌才治が中国古典の礼記から「富有」と命名してブランドを確立しました。 富有柿の最大の特徴は、受粉の有無にかかわらず樹上で自然にタンニンが不溶化するため、収穫後にそのまま生で食べられる点です(渋抜き処理不要)。果形は扁球形でやや角張った肩が特徴的で、果重は典型的に230〜280g、糖度はBrix 15〜16度が標準で上質品は18度に達します。種が少なく食べやすく、サクサクとしたりんごに近い食感が生食向きです。 国内の主産地は奈良県(富有柿単品種でシェア約28%・全国1位)、岐阜県(同約15%・2位)、和歌山県・福岡県がこれに続きます。旬は10月下旬〜12月で、最盛期は11月です。海外では「Fuyu」の名称でカリフォルニア・太平洋岸北西部・カナダ・オーストラリア・西欧のスーパーマーケットで広く流通しており、日本国外での知名度は甘柿品種の中でトップクラスです。品種が古く種苗法の保護制度(1978年開始)以前の確立で、植物品種保護登録はなく、地理的表示(GI)登録もありません。

味わい・食感

皮を剥く 基本的に種なし

富有柿の食べ頃は果皮がオレンジ色から濃橙色になり、果実がほんのりやわらかみを帯び始めたタイミングです。完全甘柿のため渋はなく、サクサクとした食感でりんごのように生のまま食べられます。

感覚プロファイル

  • 形状: 扁球形(やや平たい球体)で肩が四角く張り出す特徴的なシルエット
  • サイズ: 果重230〜280g(8〜10 oz)、直径7〜8cm程度。大果品で存在感あり
  • 糖度(Brix): 標準15〜16度、上質品で18度に達する。甘さは高いが後味はすっきり
  • 酸味: 低い。柿特有のタンニン様の軽いコクが甘さを引き締める
  • 食感: 固め〜やや固め。サクサクとした歯ごたえがあり、果汁は中程度
  • 色: 果皮は鮮やかなオレンジ色、果肉は淡橙色〜橙色
  • 種: 非常に少ない(1〜2粒程度)か無種。食べやすさが高い

栄養面: 柿はビタミンCが豊富で、富有柿1個(約250g)に含まれるビタミンCは成人の1日推奨摂取量の約70〜100%に相当します。食物繊維、βカロテン、カリウムも含みます。

用途

  • 生食(そのままスライス、サラダ、チーズボード)
  • 秋のギフト(化粧箱入り贈答品)
  • 柿なます、柿の白和え等の和食
  • 薄切りや乾燥スライスで洋菓子のトッピング
  • 渋柿と異なり、天然の干し柿(干し富有)としての加工にも使われる

旬カレンダー

最盛期

11月

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主要産地

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他の品種との違い

次郎柿(次郎)との違い

次郎柿も完全甘柿(PCNA)に分類され、渋抜き不要で生食できる点は富有柿と共通です。主な違いは果形で、次郎柿は四角ばった扁球形で4本の溝(縦溝)が目立つ「四角柿」と呼ばれる形状。富有柿は次郎より果形がやや丸みがあります。糖度・食感は両者ともに高く近いですが、次郎は果皮に光沢があり果肉がやや硬めという評価が多い。産地は静岡県(次郎)が代表的で、岐阜・奈良中心の富有柿と産地棲み分けがある。北米スーパーでは「Fuyu」が圧倒的多数を占め、「Jiro」の名で販売されることは稀です。

蜂屋柿(ハチヤ)との違い

蜂屋柿は渋柿(PVNA: Pollination-Variant Non-Astringent)の代表品種で、完全甘柿の富有柿とは対極の性質を持ちます。果形は先端の尖ったしずく型〜どんぐり型で、富有の扁球形とは一目で区別できます。完熟前はタンニンが強く渋が強烈なため、ゼリー状に完熟するまで食べられません。完熟した蜂屋は糖度がきわめて高くとろとろの食感で、産地では干し柿(ほし柿・ころ柿)の原料として重宝されます。北米でも「Hachiya」は干し柿(Hoshigaki)専用または完熟ピューレ向けと認識されており、富有柿と明確に用途が棲み分けされています。

刀根早生(とねわせ)との違い

刀根早生は奈良県の平核無柿の枝変わり品種で渋柿。収穫後に炭酸ガスや温湯処理で渋を抜いて出荷されます。旬は9月下旬〜10月上旬で、富有柿(10月下旬〜12月)よりはるかに早い。果形は平核無と同様の四角形扁球で種なし。渋抜き品はサクサクした食感ですが、富有柿のように自然な甘さ・コクはやや控えめ。奈良県では富有柿と並ぶ主力品種で、旬の始まりが異なるため産地での棲み分けがある。

品種の来歴

富有柿の歴史は1857年(安政4年)頃、現在の岐阜県瑞穂市居倉(旧・美濃国本巣郡居倉村)にさかのぼります。当地に暮らしていた小倉初衛が、御所柿系の「居倉御所」の中から特に優れた個体を見つけ、その枝を接ぎ木して栽培を続けました。評判は少しずつ広がりましたが、当初は「居倉御所」や「大御所」と呼ばれ、独立した品種名はありませんでした。 1898年(明治31年)、同じ居倉村出身の福嶌才治がこの優良系統を広く普及させようと選抜・増殖を進め、中国古典の礼記にある「有土此有財、有財此有用(土地に恵まれれば財があり、財があれば用をなす)」の「富有」から品種名を命名しました。この命名は単なるラベル付けではなく、「豊かさを持つ柿」という文化的・経済的な価値づけの意図が込められていました。 大正・昭和期を通じて富有柿は各地に広まり、戦後の柿産地の近代化の中で主力甘柿品種の地位を確立しました。完全甘柿(PCNA)という性質は、当時の農業的文脈では「渋抜き作業が不要で省力化できる」という実用上の大きな優位性を意味しており、産地拡大を後押ししました。 品種が確立されたのは1978年の種苗法(植物品種保護法)施行前であるため、富有柿の遺伝子は特定の権利者に帰属しておらず、国内外の育種機関が広く利用しています。カリフォルニア大学(UC)はじめ各国の農業研究機関が富有柿の遺伝特性を研究し、北米市場向けの選抜系統も存在します。現在では栽培面積ベースで日本の柿全体の約17%(甘柿品種中トップ)のシェアを持つ品種として、発祥地・岐阜県瑞穂市は「富有柿の発祥地」を観光・ブランドの柱に据えています。

育成機関
岐阜県瑞穂市居倉(旧・美濃国本巣郡居倉村)発祥。小倉初衛が栽培を開始し、福嶌才治が品種名を確定。
交配親
居倉御所(御所柿系)からの偶発実生または枝変わりとされる
登録年
1898年

出典: 育成機関・運営団体 公表資料

選び方

  • スーパーや直売所で富有柿を選ぶときは、(1)果皮が均一なオレンジ色で、緑や黄色みが残っていないか確認する、(2)ヘタの周囲が黒ずんでいないか、ひび割れがないかを確認する、(3)指で軽く触れてみて、張りがあり過度にやわらかくないものを選ぶ、の3点が基本です。

  • 固めが好みなら、やや橙色で固い個体を選び常温で数日置いてから食べる方法もあります。

  • 逆に、しっかり熟したトロトロの食感を楽しみたい場合は、表面が赤みを帯び指でそっと押すと少し沈む程度まで熟したものが適しています。

  • ギフト用に選ぶ場合は、果肌の傷・変色のないものを基準に、揃いのよい秀品を。

  • 化粧箱入りのJAブランドや産地直送品では等級表示(特秀・秀・優)を確認してください。

  • 海外(北米・欧州・豪州)では、アジア系食料品店・ジャパニーズグロッサリーのほか、秋のシーズン(北半球9〜12月)には一般スーパーマーケットでも「Fuyu」の名称で販売されます。

  • 果皮が鮮橙色でへこみのないものを選び、帰宅後すぐ食べない場合は常温で保管して好みの熟度まで待ちます。

  • 「Hachiya(蜂屋)」と混同しないよう注意してください — Hayachiaは先端が尖ったしずく型で渋柿であり、熟してゼリー状になるまで食べられません。

保存方法

  • 富有柿は追熟する果物なので、硬い状態で購入して常温(18〜22°C / 64〜72°F)で熟度を調整できます。

  • 食べごろになったら冷蔵庫の野菜室(約4°C / 40°F)で保存し、1週間以内に食べ切るのが理想です。

  • 硬い状態での保存: ・常温保存が基本。

  • 段ボールや新聞紙に包んで直射日光・乾燥を避ける ・ヘタを下にして並べると乾燥が遅れる ・りんごと一緒に保存するとエチレンガスで追熟が早まる(意図的に利用可) 柔らかくなったら: ・早めに冷蔵庫へ移し低温で進行を止める ・ポリ袋に入れて野菜室保存、1週間以内を目安に消費 長期保存(冷凍): ・皮をむいてカットし、ラップに包んでフリーザーバッグへ ・冷凍庫(−18°C / 0°F)で2〜3ヶ月保存可能 ・解凍後はシャーベット状の食感に変わり、スムージーやデザートに向く ・フォーク等で刺したまま冷凍すると「凍り柿」として食べられる 海外での注意: 北半球の秋(9〜12月)に購入した場合、日本と同様に常温追熟が可能です。

  • 冬季に渡航先で購入した際は産地・輸送に応じて熟度が異なるため、実際の固さを触って確認してから保存方法を選択してください。

よくある質問

富有柿はなぜ渋くないの?渋抜き処理は必要ですか?

富有柿は「完全甘柿(PCNA: Pollination-Constant Non-Astringent)」に分類されます。受粉・結実の状況にかかわらず、果実が成熟する過程で果肉中の水溶性タンニン(渋の元)が自然に不溶化するため、収穫時点ですでに渋がありません。そのため炭酸ガス処理・温湯処理・干し柿加工など、渋柿に必要な脱渋工程が不要です。りんごや梨のように、サクサクとした食感のまま収穫直後から生で食べられます。 ただし未熟なうちは渋みが残ることがあるため、果皮がしっかりオレンジ色に色づいてから収穫・出荷されます。ヘタや果皮の周辺が緑色を保っていたり、まだ黄みがかっていたりする場合は追熟させてから食べてください。

日本でいちばん生産量が多い甘柿品種は富有柿ですか?

はい。農林水産省の作物統計によると、富有柿は栽培面積ベースで日本の柿全体の約17%(甘柿品種中トップ)を占め、国内で最も栽培されている甘柿品種です。 富有柿単品種の主産地別シェアは奈良県が約28%でトップ、岐阜県が約15%で2位、和歌山県・福岡県がこれに続きます。一方、柿全体(甘柿+渋柿)の生産量では和歌山県が1位(主品種は渋柿の平核無)で、富有柿単品種のランキングとは異なります。日本の柿生産量・品種構成を正確に理解するには「柿全体の統計」と「富有柿専用の統計」を分けて見ることが重要です。

海外でも富有柿は買えますか?

はい。「Fuyu」の名で北米・欧州・豪州のスーパーマーケットに広く流通しています。これらは日本からの輸出品ではなく、現地でのカリフォルニア産・チリ産・スペイン産・豪州産などが中心です。 北米では特にカリフォルニア州が産地で、9〜12月の秋季にTrader Joe's・Whole Foods・コストコなど大手スーパーで「Fuyu Persimmon」として販売されます。日系・アジア系食料品店でも通年近く扱われる場合があります。欧州ではスペイン産が主流で、リドルやカルフールなどで秋に販売されます。 日本産の富有柿は高級品として一部の日本食品専門店や高級食料品店に入荷することがありますが、量は限られます。産地を問わず「Fuyu」品種として品質は概ね安定しており、現地産でも日本の富有柿と同じ完全甘柿の食体験が楽しめます。

富有柿と蜂屋柿(Hachiya)の見分け方と使い分けは?

見分け方は果形が一番わかりやすいです。富有柿は扁球形(やや平たい球体)でトマトのような形。蜂屋柿は先端が尖ったしずく型〜どんぐり型です。どんぐりのように先が尖っていればHachiya、丸くて底が平らならFuyuと覚えておけば間違いません。 使い分け: ・富有柿(Fuyu): 固いうちから生食可能。りんごのようにかじってもよく、スライスしてサラダやチーズボードにも。 ・蜂屋柿(Hachiya): 完全にゼリー状になるまで絶対に食べない。完熟後は干し柿(Hoshigaki)の原料、または果肉をすくって甘いピューレとして使用。完熟前に食べると強烈な渋みに苦しみます。 海外の食料品店では両品種が並んでいることがあります。必ず形を確認してから購入しましょう。

富有柿の発祥地はどこですか?岐阜県が起源と聞いていますが。

はい、正確です。富有柿の発祥地は現在の岐阜県瑞穂市居倉(旧・美濃国本巣郡居倉村)です。1857年(安政4年)頃に小倉初衛がこの地で御所柿系の優良系統「居倉御所」を栽培し始め、1898年(明治31年)に福嶌才治が品種名「富有」を命名・普及させました。 ただし現在の生産量は発祥地の岐阜県が必ずしも1位ではなく、富有柿単品種の生産シェアは奈良県が約28%でトップ、岐阜県は約15%で2位です。岐阜県(特に本巣市・瑞穂市周辺)は「富有柿の発祥の地」としてブランドの原点を主張しており、産地観光や産地ブランドとして価値を維持しています。

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