岩手県
有名な農産物
いわて短角和牛
北上高地の広大な放牧地で夏季に山地放牧される在来牛「南部牛」の系統を引く和牛。赤身主体で脂肪交雑よりも旨味成分が豊富とされ、独特の風味がある。飼育期間の多くを草地で過ごすため、生産効率よりも品質を重視した飼養管理が岩手独自の飼育文化として受け継がれている。
三陸わかめ
三陸のリアス式海岸で育つわかめは、複雑な地形が生み出す強い潮流と豊富なプランクトンにより、肉厚で歯ごたえのある質感が特徴。大槌・山田・宮古・気仙沼にまたがる産地で生産され、岩手県のわかめ生産量は全国2位の水準にある。湯通し塩蔵処理された製品が主流で、磯の香りが強く残る。
南部美人
二戸市に蔵を構える清酒「南部美人」は、岩手県北部の良質な地下水と東北の低温醸造環境を活かした酒造りで知られる。国内外の鑑評会での受賞歴を重ね、輸出にも積極的に取り組む。同名ブランドは岩手を代表する酒蔵の一つとして定着しており、地元産米を使った純米吟醸が特に評価されている。
岩手県のブランド品種
米の品種
あきたこまち
秋田県を代表する米品種で、コシヒカリの系統を引きながら粒立ちと淡白な食味を備える。粘りはコシヒカリより少なめで、おにぎり・お弁当・寿司に向く。秋田・岩手・茨城・栃木で広く栽培される。
りんごの品種
ふじ
1939年に青森県藤崎町の農林省園芸試験場東北支場(現・農研機構)で国光とデリシャスを交配して育成され、1962年に品種登録された日本原産のりんご品種。日本国内のりんご生産量の約50%を占める最多栽培品種で、現在は中国・アメリカ・チリ・イタリアなど世界中で商業栽培されるグローバル品種。Brix 14〜16度の高糖度と250〜400gの大果、蜜入りと歯切れのよい食感が特徴。
米の品種
ひとめぼれ
宮城県古川農業試験場が育成し1992年に品種登録された東北の代表品種。コシヒカリの子孫ながら冷害耐性が高く、1993年の大冷害でも安定収量を確保したことで東北全域に急速に普及した。粘り・甘み・食味のバランスが良く、全国作付面積2位を誇る人気品種。
岩手県の気候と農業
岩手県は東北地方の中央に位置し、四国と同程度の広大な面積を持つ。内陸部は北上高地と奥羽山脈に囲まれ、冬の最低気温がマイナス10度を下回る厳寒地帯となる一方、夏は昼夜の寒暖差が大きく、作物に糖分を蓄積させる好条件を生む。北上川が形成した北上盆地の沖積地では稲作が中心となり、一関市・奥州市・花巻市周辺に水田地帯が広がる。三陸海岸は世界三大漁場の一つであるリアス式海岸の地形を活かし、わかめ・昆布・牡蠣・アワビなどの養殖業が盛んで、特にわかめの生産量は全国2位を誇る。畜産においては岩手全体の農業産出額の約65%を占め、いわて短角和牛や南部牛追唄で知られる南部馬の産地でもある。奥州市前沢地区は良質な飼料と清冽な水系を活かし、前沢牛のブランドを確立した。野菜ではピーマンの生産量が全国有数で、岩手県全体の出荷量は全国上位に位置する。標高差と多様な地形が生む複合農業が、岩手の農業を特徴づけている。
出典:農林水産省 令和5年作物統計、気象庁
岩手県の農業の特徴
岩手の農業をひとことで表すなら「垂直の農業」が近い。海抜ほぼ0メートルの三陸沿岸から1000メートルを超える奥羽山脈まで、標高差が産業を切り分ける。沿岸では漁業と養殖が主体となり、中山間部では畜産・酪農が広がり、北上盆地では水稲や野菜が展開する。この垂直分業は、県全体を単一の農産物に頼らない多層的な食料生産地帯にしている。広大な面積に人口が分散しているため、規模の経済よりも地域ブランドの積み上げで付加価値を生む戦略が各産地で採られてきた。前沢牛・いわて短角和牛・南部地鶏といった畜産ブランドが複数並立するのも、地域ごとの飼育文化の違いが個性として打ち出されてきた結果である。三陸沿岸は2011年の東日本大震災で壊滅的な被害を受けたが、わかめ・昆布・牡蠣の養殖業は産地の連携と消費者の支援を受けて復興し、今や震災前を上回る生産規模を回復した産品も多い。
生産食材ランキング
出典: 農林水産省 海面漁業生産統計調査・林野庁 特用林産物生産統計調査・農林水産省 作物統計調査(2023年)
主要食材の生産推移
上位5食材の生産量推移(2018-2023)
出典: 農林水産省 海面漁業生産統計調査・林野庁 特用林産物生産統計調査・農林水産省 作物統計調査(2018-2023年)
盛岡市の消費傾向
出典: 総務省 家計調査(2024年・二人以上の世帯・盛岡市)
旬カレンダー
よくある質問
岩手県の名産品で有名な果物はありますか?
岩手は果物よりも畜産・水産が農業の中心です。ただし遠野市周辺でホップ栽培が盛んなほか、内陸部ではりんごやブルーベリーの産地もあります。代表的な名産としては三陸わかめ・前沢牛・いわて短角和牛が広く知られています。
前沢牛といわて短角和牛はどう違いますか?
前沢牛は奥州市前沢地区で肥育された黒毛和牛のブランド名で、霜降りの美しさが特徴です。いわて短角和牛は在来種「南部牛」の系統を引く赤身主体の和牛で、山地放牧により独特の旨味が生まれます。品種・飼育方法ともに異なる別ブランドです。
三陸わかめはどこで買えますか?
道の駅や三陸沿岸の産直施設のほか、大槌・山田・宮古などの漁協直売所で購入できます。湯通し塩蔵品が通年流通しており、オンラインショップでも取り扱いが多く、産地から直送される乾燥わかめや塩わかめが人気です。
出典:農林水産省 令和5年作物統計/文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」/気象庁 過去の気象データ。生産量データは2023年の値を使用しています。